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下総薬園の設立

 江戸前期頃までは,薬種の草木などは中国から大量に輸入していましたが,元禄年間頃に入ると幕府の財政が悪化し,国内生産の必要性が増大しました。そして,既設の駒場や小石川の御薬園を上回る薬園の設置が計画されました。
 享保7年4月4日に下総薬園の設置が正式に決定,幕府御医師並丹羽正伯と薬種商桐山太右衛門に管理運営の指示が出されました。

 下総薬園では,朝鮮人参,黄連などが栽培されていたものと想定されますが,詳しいことは殆ど分かっていません。また,所在地については薬園台高校付近を中心として約2q以内で,明治時代の地図を参照すると明らかにその位置を特定することが出来ます。現在でも境界跡が道路として残っています。


下総薬園の廃止

 その後,下総薬園は薬種商の桐山が死去し,廃されましたが,廃された時期もよく分かっていません。正伯が死去した宝暦6年以後だと推定されています。


薬園台新田の成立

 廃された下総薬園は新田となり,(薬園に因んで)薬園臺新田,(丹羽正伯に因んで)正伯新田と呼ばれ,明治時代頃までは正伯新田の方が一般的に使用されていました。また,昭和20年頃の地図にも正伯薬園台という地名が伺えることからも,正伯らの下総薬園がこの地へ大きな貢献を果たしたことが伺えます。


鉄道第二聯隊演習線の開通

 現在の新京成電鉄は戦前の陸軍鉄道連隊の演習線であったことは有名で,ご存じの方も多いと思います。
 日清戦争時,軍事物資の輸送は専ら荷馬と呼ばれた馬に頼らざるをえず非常に困難を来しました。そんな中設置されたのが鉄道部隊で,設置当初は1個中隊の非常に小規模の部隊でした。後に大隊規模になりますが,最初にこの部隊が活躍したのが日露戦争でした。ロシアの永久堡塁に守られた203高地の攻略は困難を来たしましたが,鉄道聯隊が輸送・設置した28サンチ要塞砲の威力が功を奏し,攻略に成功しました。後にこの要塞の縮小版が習志野原に作られ,旅順港などと呼ばれ親しまれましたが戦後の団地造成で埋められてしまいました。尚,鉄道大隊はこの功績により聯隊に昇格し,昭和20年の終戦時には内外に20個聯隊を数える大部隊となりました。
 かなり話はそれましたが,津田沼〜薬園台〜松戸付近に設置されていた演習線は軽便鉄道と呼ばれる方式が採用されていました。この軌道は日本最狭の軌間600oで,双合機関車と呼ばれる小型の機関車が走っていました。この機関車の一部が津田沼のイトーヨーカドー脇の公園(確か「津田沼一丁目公園」)に保存されています。
 尚,この軽便鉄道の建設方法ですが,普通鉄道とは異なっていました。軌匡と呼ばれる5bの軌条(レール)と鉄製の枕木が一体化した梯子状のものを建築列車や軌匡車で輸送し,6人一組で運搬,建設地点でナーゲ(投げ)の合図で投下し接続していきました。熟練すると1日で5〜6qを敷設したとのことです。鉄道第二聯隊では現在のダイエー〜千葉工業大学・イトーヨーカドー周辺を拠点に日夜敷設と撤収の演習を繰り返していました。現在でも聯隊営門や跨線橋,鎌ヶ谷橋台跡などが現存しており往時の光景を留めています。

  因みに千葉線(軍用津田沼駅〜軍用千葉駅間)は戦後しばらく自衛隊の鉄道部隊(いわゆる101建設部隊)により使用されていましたが,昭和41年の部隊解散によりその後撤去され,今ではハミングロードとして付近住民に親しまれています。

〈補1〉薬園台付近が完成したのは昭和8年頃と言われています。
〈補2〉大隊当時にも大久保の騎兵連隊付近から習志野付近まで演習線がありました。


東部軍管区教育隊の設置

 太平洋戦争開戦後,日本軍にとって最も重大な問題は下士官クラスの将兵の不足でした。終戦間際には士官学校を卒業したばかりの実戦経験のない将兵が最前線に送り出され,犠牲を大きくしたばかりでなく敗戦の遠因ともなりました。
 そのような中,下士官養成のために創設されたのが東部軍管区教育隊でした。詳しい資料があまり現存していないので教育内容などはよく分かりませんが,当時の敷地は薬園台高校・薬円台小学校〜習志野駅あたりにあったものと思われ,正門は薬園台高校の正門から現在の道路にかけて,裏門はマルエツの前の道路(池田豆腐店付近で分かれる道の北京料理世界側の道の商店街との突き当たり)付近にありました。なお,裏門の跡は現存しており,これも又,往時の光景を未だ留めています。

▲現在も残る裏門跡
▲門を設置したと見られる金具跡も現存している

薬園台から薬円台へ

 薬園台が今の薬円台に変更されたのは昭和48年の事です。


 [参考:船橋市「ふなばし物語−太古から現代まで−」,郷土資料館「薬円台の歴史」ほか多数]

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