編輯後記

座右寶刊行會


 當誌も、色々の困難と戰ひながら、本年四月創刊以來、七册を世におくることを得た。色々の批評を受けながらも、讀者、寄稿家のお盡力を得て、一つの形を備へて來たことは嬉しい限りである。文藝と美術との綜合を使命とする本誌の使命は重大である。ともすれば、ばらばらに分れやうとする。吾々は力を盡して綜合の實をあげようとしてゐる。大方のお助力とお聲援をお願ひしたい。
 街頭を歩いてゐても、續々と復興しつゝあるのは、喫茶店と劇場と食ひもの屋である。煽情を賣物にしてゐる雜誌の賣行はすばらしいと云ふ。なげかはしい事どもである。文化の復興が起るのはいつの事かと思はれる。読書はある意味に於いて、内省のものである。食ふことに追はれて内省をおこたつていゝものであらうか……。ともあれ暮晩である。吾々はこの一年の成果を内に省みつつ、新しい年を向かへんとしてゐる。



底本:「座右寶 第八・九號」座右寶刊行會
   1946(昭和21)年12月1日発行

入力:蒋龍
2009年2月11日作成



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