アンケート 官展は如何にあるべきか

座右寶刊行會




 毎年多くの問題を孕んで開催される日展は、本年も藝術院主催と第五科の書道を新たに加える、二つの問題を決定して開催されることになりました。日展に關しては何の興味もないと言う聲を聞きますが、單に國家が行ふ興行としての意味しか有しないものならば、日展廃止説も當然としなければならず、其の方がわが國美術界に益することになるかも知れません。わが國の政治に、國民の輿論を反映させる、と言うことが殘された唯一の希望であるとしたならば、「官展は如何にあるべきか」と言う輿論を此處に引き出すことはあながち無益のこととは考えられません。むしろそれがジヤーナリズムの持つ大きな使命であるとも考えられます。その意味で左記の三つの問題を提起して、斯界の諸氏に葉書解答を試みていただくことにしました。
 なほ此の問題に關して、讀者諸氏の御意見も聞かせていたゞければ幸甚です。
  
一、日展は引續き開催されるべきでせうか。
二、開催されるべきとしたら、その方法はどうあるべきでせうか。
三、其の他日展に關する意見


(解答到着順)
評論家 北川桃雄
(※著作権保護期間中のため割愛)
[#ここから割り注]小説家[#改行]藝術院會員[#ここで割り注終わり] 長與善郎
一、門外漢なので、内幕は何も知らず、何とも御返事出來ません。
  官展と在野展は、文化國家などと言はれる立場からも、兩者が共に存在しないわけにはいかぬでしよう。民、官兩者が自由な立場で存在すべきです。
二、畫壇は畫壇だけにまかせておきたいもの、畫家の自由な發展が年齡や名聲で壓迫を加えられるのはこまつたことです。
評論家 今泉篤男
(※著作権保護期間中のため割愛)
評論家 水澤澄夫
(※著作権保護期間中のため割愛)
畫家 二科會 高岡徳太郎
(※著作権保護期間中のため割愛)
[#ここから割り注]畫家一水會員藝術院會員[#ここで割り注終わり] 石井柏亭
一、或二、三藝術院會員の休止説に端を發したのですが五月の第二部總會で其の儀は用ひられず開催に決定したものです。
二、廢止を輿論のやうに言ひなすものがあるが輿論とは見ません。展覽會は出品者と觀客とから成立つものですが、觀客側からの廢止説を殆ど聞きません。
學者 兒島喜久雄
一、あまり興味がありませんが、政治的なものに期待出來ない時世になつて來たので、藝術分野に於ても官展とか連合展などにはあまり期待出來ません。
  從つて眞面目に藝術をまもろうと言う熟意を持つ藝術家は、個展に力を入れる時代だと考へます。
  展覽會場所有者や批評家其他も個展と言うものを理解して支持する樣であつて欲しいと思ひます。
  新人も展覽會にパスすることによつて世に出やうなどとは考へず(從來こうした方面によけいな、つまらない努力と犠牲がはらわれていました)個展によつてまぢめな自分の仕事を世に出す勇氣を持ちたいものと思ひます。
評論家 嘉門安雄
(※著作権保護期間中のため割愛)
畫家 新制作派 猪熊弦一郎
(※著作権保護期間中のため割愛)





底本:「座右寶 第十九號」座右寶刊行會
   1948(昭和23)年8月1日発行

入力:蒋龍
2009年2月11日作成
2011年2月7日修正





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