森の少年と泉の女神

森の少年物語 第1話 作 長月
豊かな森と水をたたえるヴァルトラントの北西、シュヴァルツブルクのさらに北・・・
シュマリタイの森の奥深くには、キツネ族と呼ばれる種族が棲んでいる。
彼らの容姿や生活は、基本的にヒト族とほとんど変わらない。
しかし彼らには二カ所だけ、ヒトとは大きく離れた特徴がある。
一つは彼らの頭に生えている、まるでキツネのような大きな耳。
そしてもう一つは、彼らの腰からのびる、ふさふさとした長い尻尾。
彼らは森のもたらす豊かな恵みによって、穏やかに、そしてのんびりと暮らしていた。
 




「お姉ちゃん、なかなか釣れないね〜。」

「そうねぇ、いつもならもうそろそろかかってもいい頃なんだけど・・・」

森の泉に浮かぶ、一隻のボート。
そこに、釣り竿から糸を垂らす二人の姉弟の姿があった。

「あっ!かかった!!・・・・・・あ〜っ、また逃げられちゃったよ〜。」

「もう、フォルったらこれで何回目?・・・ったく、鈍いんだから〜。」

フォルと呼ばれた少年は、あどけない顔に少しばかり落胆の色を浮かべると、釣り針をたぐり寄せ、傍らにあった餌をつまんで針につけ直す。
その様子を、隣に座る姉は漫然と眺めていた。
姉の名は、フィリアと言う。
二人の頭にも当然のように、キツネ族の証である大きな耳がついていた。

「むぅ〜〜っ、そんなこと言って、お姉ちゃんだってさっき逃がしちゃったくせに〜。」

「なに言ってんのっ!あたしは2回、あんたは3回。あんたの方がたくさん逃げられてるんだから、あんたの方が鈍いに決まってるじゃない!」

しかしどちらも釣れていないことには変わりない。
訳の分からない理屈で強引に話を押し切られたフォルは、不満そうな顔をしながらも、だまって針を水に投げ入れた。
ここで反論しても、結局はその迫力によって姉が勝つことは分かっているのだ。

ちゃぽんっ。

釣り針は水面に小さな波紋を立てて、ゆっくりと水底に消えてゆく。

「・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

二人はしばらく、黙ってゆらゆらと揺れる水面を眺めていた。
そんな時。

・・・くんっ!

突然、フォルの竿の先端が大きく揺れた。

「あっ!またかかった!!」

「フォルっ!今度は逃がしちゃだめよっ!」

「うんっ!ぼくぜ〜ったい逃がさない!!」

フォルはぐいぐいと引かれる釣り竿を懸命に握りしめ、力の限り引っ張った。
興奮が、フォルの耳をぴんと立たせる。

ぐいっ!ぐぐぐぐっ!!

「こっ、これ、でっかいよ〜〜っ」

「大物ねっ!あたしも手伝うわ!!」

これまでとは明らかに違う竿のたわみに、フィリアもあわててフォルの釣り竿に手をやり、一緒になって強く引く。

「ん〜〜っ、重いわね!これは・・・相当でかいわよ〜〜!」

フィリアの目にはすでに、グリルでおいしそうに焼き上がった大きな魚の丸焼きが映っている。
しかし、魚の力は予想以上に強く、二人がかりでも竿を持って行かれないようにするのがやっとだった。
そこへ!

ぐぐいっ!!!

突然竿が、それまでよりさらに強い力で引っ張られる。

「きゃっ!」

驚いたフィリアは、思わず持っていた手を離してしまった。
しかし、先ほど魚を逃がしたばかりのフォルは、今度こそは絶対に逃がさないとばかりに、釣り竿を握るその手を決して離すことはなかった。
フォルの小さく軽い身体に、二人がかりでも対抗できないほどの強大な力がかかる。
そしてそんな力で一気に引っ張られたフォルは・・・

「うっ、うわぁっ!!」

ばしゃ〜ん!!

そのまま、ボートから落ちてしまった。

「がぼがぼっ!おっ、お姉ちゃんっ、ごぼっ!たっ、助けて〜〜!」

ばしゃばしゃばしゃばしゃ〜!!

普段から森の中で暮らし、日頃あまり水になじみのないフォルは、全くと言ってよいほど泳ぎができない。
その上水に濡れた服が、ただでさえ泳げないフォルの体にまとわりついてその動きを拘束する。

「あっ!も〜、なにやってんのっ!待ってて、今助けてあげるからっ。」

フィリアはボートに積んであったオールを手に取り、フォルの方へ差し向ける。
しかし不安定な舟の上からでは、なかなか思うようにフォルに届かない。

「あっ、あれ?なかなか難しいわね。」

その上フォルも、突然のことにパニックになってる。
オールは何度もフォルの指先をかすめはするものの、その手に握りしめられることはなかった。
そしてついに・・・

「がばがばっ、こぽっ・・・」

フォルの頭が水面に沈んでしまった。

「フォっ、フォル?!」

フィリアが驚きの声を上げる。
普段は気の強いフィリアも、さすがにこれには焦りはじめた。
その時!

こぽっ、こぽこぽこぽっ!

突然、水の中からまばゆい光が発せられると同時に、大量のあぶくが湧き上がる。
そしてそのあぶくと共に水中から、神々しいほどに美しい、一人の女性が姿を現した。
薄くひらひらとした羽衣を着たその女性の腕には、沈んだはずのフォルが抱きかかえられており、さらにその傍らにはなにやら金色の物体と銀色の物体がふよふよと浮かんでいた。

「ごっ、ごほごほっ!!・・・はっ、はぁ、はぁ、・・・た、助けて、くれて、あ、ありがと・・・」

なにが起こったのかさっぱり分からないものの、とりあえず自分の命を救ってくれた女性に感謝の言葉をかけるフォル。
しかし、その女性はそんなフォルに一瞥もくれることなく、フィリアに向かって厳かに口を開いた。

「あなたが落としたのは、この金の男の子ですか?」

そう言うと、その女性は傍らにあった金色の物体を指し示す。
よく見るとその金色の物体は、フォルによく似た姿を形作っていた。

「・・・あ、あんた、誰?」

いきなりの問いに、思わず尋ね返すフィリア。
女性に抱えられたフォルも、事態が飲み込めずにきょとんとしている。

「私はこの泉の女神、エリア。・・・あなたが落としたのはこの金の男の子ですか?」

エリアと名乗る女性は再び、先ほどと変わらぬ口調でフィリアに尋ねた。

「は?・・・ううん、そんなんじゃないわよっ?」

「それでは、この銀の男の子ですか?」

エリアは、今度は左手にある銀色の物体を示す。
こちらも金色の物体と同様、フォルの姿と全く同じに作られている。

「しつこいわねっ!そんなわけないじゃないっ!!」

「では、どちらもあなたが落としたものではないと言うのですね?」

「あ、当たり前じゃないっ!落ちたのはあなたが今抱いてる・・・はっ!」

フィリアは言いかけたものの、急に何かに気づいた様子で口をつぐんだ。

(ちょ、ちょっとまって!・・・も、もしあたしがここで「金の男の子よっ!」って言ったら、もしかして・・・あれ、あたしの物?)

キラ〜ン!

フィリアの目が怪しく光る。

「そ、そういえば、落としたの、金の男の子だったような気がしてきたわ・・・」

「おっ、おお、お姉ちゃん!?」

驚いたフォルが、思わず声を上げる。
しかしフィリアの目線はすでにあらぬ方向へを向いており、フォルの声など聞こえるはずもない。

(ああっ、あれだけの金の塊、一体いくらになるのかしら・・・長年思い描いてきたオーリュ君と豪邸でラブラブ計画が、まさかこんなに早く実現するなんて!!)

「それでは、この銀の男の子は・・・」

「そ、それももちろんあたしのよっ!!」

「お姉ちゃんちがうよっ!落ちたのは・・・」

「「あんたは黙ってなさいっ!」」

びしっ!とフォルにらみつける、フィリアとエリア。

「ううっ、なんで女神のおねーさんまで・・・」

2人ににらまれて、涙目になるフォル。

「では、これはどちらも、あなたが落とした物なのですね?」

「そうよっ!さあ、早く返してっ!!」

フィリアはそれがさも当然のように、エリアに要求する。
そんなフィリアに向かって、エリアは厳かに言った。

「・・・・・・あなたは嘘つきです。この金と銀の男の子は没収します!」

「ええっ!?それじゃあ私のラブラブ計画はどうなるのよっ!!」

「そんなこと、私の知ったことではありません。」

冷たく言い放つエリア。

「そ、そんなぁ〜・・・。」

フィリアはがっくりと肩を落とす。

「も〜、お姉ちゃんウソなんてつくから・・・」

そしてフォルもエリアの腕の中で、大きくため息をついている。

「そして、罰としてこの子も没収します!!」

「え?・・・・・・ええっ!?なな、何でぼくまで〜〜〜?!」

突然思ってもみなかった方向に話が進み、すっとんきょうな声を上げるフォル。

(没収って、ぼく、一体どうなっちゃうの?・・・もしかして、このまま水の底に沈んで、おぼれちゃうの!?)

そんな危機感から、フォルは必死に抗議する。

「だ、だって、ウソついたのはお姉ちゃんだよ!?ぼくはなんにもしてないでしょ?!」

しかし、そんなフォルの訴えに、エリアは全く聞く耳を持たない。

「ダメです!ここであなたを返したら、罰になりませんから!!」

そしてフォルを抱くその身体が、足もとからゆっくりと水の中に沈み始めた。

「そんなぁ・・・おっ、お姉ちゃん、見てないでたすけてぇっ!!」

あわてて姉に助けを求めるフォル。
そんなフォルの悲痛な叫びは・・・

「が〜ん、あ、あたしの金塊が、豪邸が、ラブラブ計画がぁ・・・。」

当然の事ながら、フィリアの耳に届くことはない。
そして、そんなフィリアに向かって、エリアは最後の言葉を発する。

「これに懲りたら、これからは正直に生きるのですよ〜・・・」

ごぼごぼ、こぽっ・・・。

そして、辺りはふたたび何事もなかったように、静まりかえった。

 ・
 ・
 ・

ふわふわとした、白く大きなベッド。
その上に、少年の幼い身体が横たえられていた。
ベッドにはひらひらとした天蓋がついており、一目で一般人の持ち物でないことが分かる

・・・ぴくんっ。

少年の頭部にある大きな耳が、微かに動く。
そして少年は、ゆっくりと上体を起こし始めた。

「うぅ・・・ん・・・・・・」

気がついたフォルは少しのあいだ目を瞬かせると、不思議そうに辺りを見回した。
絨毯の敷き詰められた、広い床。美しく飾られた内装や調度品。
どうやらそこは、どこかの宮殿の一室のようだ。

「ぼく、たしか水の底に・・・でも、あれっ?・・・ここは・・・天国??」

「・・・気が付きましたか?」

「わわっ!」

不意に背後から声をかけられ、びっくりしたように後ろを振り向くフォル。
そんなフォルの瞳に映ったのは、先ほどと同じように静かな表情で自分見つめる、エリアの姿だった。

「あっ、おねーさん、ここ、どこ?ぼく、一体どうなちゃったの?」

「ここは泉の底にある宮殿・・・私の住処です。あなたは私に没収されたのですよ。」

「ええ!?ぼっ、ぼくほんとに没収されちゃったの!?」

「そうです。罰として没収した物は、そこを管轄する神が永久に保管することになっています。だから、あなたはもう・・・私の物なのですよ。」

そう言うと、エリアはゆっくりとフォルの所に歩み寄り、そっとほほに手を当てた。
そしてそのまま、じっとフォルの顔をのぞき込む。
突然エリアに見据えられたフォルは少しおびえながらも、反射的にエリアの瞳を見返した。

「・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・うふっ。」

突然、それまで感情が見えなかったエリアの顔から、妖しい笑みがこぼれた。

「えっ、な、なに?」

エリアの突然の表情の変化に驚いたフォルが、思わず声を上げる。
しかし、フォルのおびえた視線の先にあるその瞳は、すでに完全に据わってしまっている。

「うふ、うふふふふふふふ・・・・」

「お、お姉さん、なっ、なんか目が怖いよぉ・・・。」

笑いながら、なおもフォルを見つめ続けるエリアの瞳には、すでに先ほどまでの神々しさは微塵も感じられない。
そして、エリアはおもむろにこぶしをぐっと握ると、大きな声で叫んだ。



「よっしゃーーー!美少年げぇーーーっとおっ!!!」

「ふっ、ふええっ?」

そのあまりの豹変ぶりに、フォルはまたしてもすっとんきょうな声を上げる。
フォルの見つめるその女性は、もはや先ほどとは全くの別人である。
そしてそんなフォルに向かって、エリアは先ほどとはうって変わってくだけた口調で話し始めた。

「ああっ、なんてラッキーな日なのかしらっ!こんな可愛い男の子が手に入るなんて!!ほらっ、私ってこんなとこに住んでるでしょ?男の子と会う機会なんか全っ然ないのよ!でも持ち場を離れるわけにもいかないし。それにしても・・・くうぅっ、長かったわっ!ここに配属されて150年、助手と二人っきりの男っ気ひとつない生活!!」

「えっ?えっ?・・・ええぇっ!?」

すっかり混乱してしまっているフォルをよそに、早口で一気にまくし立てるエリア。

「それがまさか、こんな可愛い子が自分から転がり込んできてくれるなんてっ!うふふふ、あの嘘ついてくれた子にも感謝しなきゃねっ!」

念願だった少年が手に入ったことで、エリアは興奮のあまりフォルそっちのけではしゃぎまくる。
そんなエリアに向かって、フォルは恐る恐る声をかける。

「お、おねーさん、な、なんか、さっきまでと性格が・・・」

「ああ、これ?私、普段はいつもこんな感じなのよ。でもほら、私って女神でしょ?一応イメージってもんがあるのよね〜。上司からも、『女神の品位をおとしめるような行為は厳に慎むように』って言われちゃってるし・・・人間の前に出るときは、あんな風にいかにも女神〜って感じでネコかぶってるのよっ。でもね〜、普段やりなれない事すると、もー肩がこって肩がこって・・・。」

人の言うことをあまり聞かず一方的に喋りまくるエリアの姿に、どこか姉と同じものを感じるフォル。
そしてフォルは今までの経験から、こういう場合は逆らわずに話を合わせるべきであると言うことを知っていた。

「あ、そ、そーなんだ、おねーさんも大変なんだね・・・。」

「そーなのよっ、女神って言っても見た目ほど楽じゃないのよぉっ!あなた、分かってくれる!?」

そう言って、フォルの肩を両手でがしっと掴むエリア。
エリアはそのまま更に話を続けようとしたが、ふと何かに気づいた様子でフォルの顔をのぞき込む。

「あらっ?あなたの服、びしょぬれじゃない!」

「うっ、うん、そりゃ、湖に落ちたんだから・・・」

「あっ、そっか。そういえば、あなたたちは水に落ちたら濡れちゃうんだったわね。ふ〜む、どうしよっかな〜。」

濡れたフォルの身体を眺めながら、エリアはしばらく何かを考えるような表情を作っていた。
そしてそれが何かを思いついたようなものに変わったとき、突然エリアの瞳に妖しい光が宿る!

・・・きゅぴーん!

「ああっ!いつまでも濡れたままでいると風邪ひいちゃうわっ!その服、早く脱がないと!」

わざとらしい口調で言ったエリアは、妖しい笑みを浮かべたまま、だんだんとフォルの方へとにじり寄ってゆく。

「さあさあ、お姉さんが脱がせてあげるから・・・」

「えっ?いいよ〜、ぼくそんな子供じゃないもんっ!」

自分が子供扱いされたと思ったフォルは、少しすねたような表情でエリアの申し出を断った。
しかし・・・

「なに言ってるの!子供が遠慮なんかしちゃだめよ!」

「えっ、えんりょなんかしてな・・・うわぁっ!」

がばっ!

すでに何かのスイッチが入ってしまっているエリアは、強引にフォルの上に覆い被さり、手早くフォルのマントのひもをほどいてしまう。

「ほ〜ら、ぬぎぬぎしましょ〜ね〜」

ぽいっ!

脱がしたマントをベッドの外へと放り投げるエリア。

「わわっ!ちょ、ちょっとまってっ!!」

「だめよっ!早く脱がないと風邪ひいちゃうでしょ!」

フォルは激しく抵抗するものの、本気になった大人の力には到底かなうはずがない。

ぽいっ!
ぽいぽいっ!!

「ほーら、パンツまでぐっしょりじゃな〜いっ!!」

「わあっ、そ、そこは自分で脱げるよぉっ!!」

「いーからいーから、お姉さんに任せて・・・」

ぽいっ!ぽぽぽいっ!!

そしてフォルは、ついに全ての衣服を脱がされてしまった。

未だ恥じらいすら知らぬ少年の幼く無防備な身体が、エリアの目前にさらけ出される。

「はぁはぁ、もぉ〜、自分で脱ぐって言ったのに〜。」

未だにエリアの目的を知らず、ただ自分が子供扱いされていると思っているだけのフォルは、エリアに向かって頬をふくらませて見せる。
そんなフォルの前で、エリアは・・・固まっていた。

(な・・・何これ、ありえない!天界にだってこんな子いなかったわよ・・・。し、信じられない・・・信じられないくらいに・・・)

「可愛すぎるぅ〜〜〜〜っ!!!」

だきっ!

「きゃうぅっ!?」

突然力一杯抱きしめられたフォルは、驚きの悲鳴を上げる。

「かわいいっ!かわいいっ!かわいい〜〜っ!」

そしてエリアはそのまま、フォルの濡れた頭を激しく何度も撫でまわした。
エリアの細い指先が上を通りすぎるたびに、フォルの大きなキツネ耳がぴょこぴょことはね上がる。

「ねぇあなた、名前はなんて言うのっ!?」

「え、えっと、あの、ふぉっ、フォル・・・。」

「フォル君ね。う〜ん、名前もかわいいわ〜っ!」

言いながらエリアは、フォルの耳を集中的に撫で始めた。
ふさふさとした毛皮の心地よい感触が、エリアの手に伝わる。

「んっ、・・・おねーさん、耳っ、あんまり触っちゃダメだよっ。」

「おねーさんだなんてっ!エリアって呼んでっ!」

手の動きは止めずに、エリアが言う。

「うぅ、え、エリアさぁん、み、耳、弄らないでぇ・・・。」

「なんで?こんなにふさふさして気持ちいいのに。」

そう言うとエリアはフォルの耳をきゅっと掴む。

「ひゃっ!だっ、ダメだよぉ・・・耳触られると、なんか、せっ、背中がゾクゾクしちゃうぅ・・・」

「そっかぁ〜、ここ、敏感なんだぁ・・・。」

唇をフォルの大きな耳の内側に寄せて、こそりとささやくエリア。
しかしその手の動きは、一向に止まる気配がない。

「あぁっ・・・だから、ダメだったらぁ・・・え、エリアさんやめてぇ・・・」

つぶらな瞳に薄く涙を浮かべて、フォルは必死に訴えかける。
しかしそんな仕草も、エリアにとってはまるで欲望の炎に注ぐ油のようなものである。

(今までなんてつまんない仕事って思ってたけど・・・くうぅっ!女神やっててよかったぁ〜っ!!)

心の中で感涙するエリア。
そしてフォルの耳をさらに撫で回そうと手を伸ばしたその時、エリアはふとフォルの身体の小さな変化に目が止まった。

「・・・あれぇ〜?ここ、どーしちゃったのかなぁ〜っ?」

そう言うと、エリアは意地の悪い笑みと共に、そっとフォルの身体の一部をさする。
そこは小さいながらもぴょこんと上を向き、エリアが手を動かすたびにビクビクと痙攣している。

「ひゃうぅっ・・・そ、そんなとこさわっちゃダメだよぉ・・・。」

「おかしいわねぇ〜、今まではもっと小さかったのに、何でこんなになっちゃったのかしらねぇ・・・」

「わ、分かんないよぉっ・・・分かんないけど、なっ、なんか時々、勝手におっきくなっちゃうのぉっ!」

自分の身体を駆けめぐる奇妙な感覚に身を震わせながら、涙目で答えるフォル。
そんなフォルに向かって、エリアは思わぬ言葉を口に出した。

「ねえ・・・これ、元に戻したい?」

エリアはそう言うと、今までさすっていたその部分を右手できゅっと掴む。

「あううっ!・・・う、うんっ、ここが大きくなると、な、なんかからだが変な感じになっちゃうのぉ・・・だからお願いっ、こ、これ、もとにもどしてぇっ!」

「うふふっ、いいわよぉ〜。・・・でもその代わり、これから私がすることに絶対に逆らっちゃダメよ。」

そう言うとエリアは、おもむろにフォルの両足をぐっと掴み、そのまま左右に大きく開いた。
つづく

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